【品川研究室】高校生の皆さんへ

はじめに

皆さんはオペレーティングシステム(OS)や仮想化ソフトウェアなどのシステムソフトウェア、コンピュータセキュリティの研究に興味がありますか?

品川研究室では、これらの分野に興味がある高校生の皆さんが、将来的に研究室に加わって世界トップレベルの研究をしてくれることを期待しています。現在高校生の皆さんが、将来的に品川研究室に参加するためには、主に次の2つの方法があります:

  1. 東京大学理学部情報科学科に進学し、品川研究室を志望して配属される
  2. UTokyoGSC-Next」に参加して、高校生の段階から品川研究室に参加する

また、東京大学理学部情報科学科に進学するためには、以下の2つの方法があります。

  1. 一般入試で理科一類に入学して、その後に理学部情報科学科を志望して進学する
  2. 学校推薦型選抜」を活用して、理学部情報科学科を指定して東京大学に入学する

ここでは、「UTokyoGSC-Next」と「学校推薦型選抜」について紹介します。

👉 UTokyoGSC-Next:高校生が研究室に参加できる制度

https://gsc.iis.u-tokyo.ac.jp/

UTokyoGSC-Next は、東京大学が高校生向けにおこなっている特別な人材育成プログラムです。「未来社会を自らデザインする力」を持つ、科学技術のリーダーを育てることを目指しています。特に「第三段階(発展コース)」では、実際に東京大学の研究室に所属し、自分の関心に沿った研究に取り組むことができます。

第三段階では、東京大学の研究室に所属してSTEAM型の課題研究を行います。皆さんの興味関心に応じて設定した「課題」を実験やフィールドワーク等によって、自ら解決していきます。さらに、研究の進捗状況により、国際会議での発表や論文発表に挑戦する機会があります。これらの研究活動に加え、「研究の手引き」や「研究倫理」セミナー、連携企業へのサイトビジットなどもあります。

品川研究室では、2024年度にこのプログラムを通じて「実機を用いた GbHammer 攻撃の危険性評価」というテーマで高校生を受け入れました。

https://www.os.is.s.u-tokyo.ac.jp/news/20241123_utokyogsc-present/

今後も希望者がいれば、UTokyoGSC-Next の制度を利用した学生の受け入れをおこないます。 高校生のうちにシステムソフトウェア研究をおこないたい方はもちろん、品川研究室や理学部情報科学科への進学を見据えて研究体験をするという意味でもご活用ください。また、下記の学校推薦型選抜における実績の一つとしても活用できる可能性もあるかと思います。

興味がある高校生の方は、ぜひ最先端のOS研究にチャレンジしてみてください。

👉 学校推薦型選抜:情報科学科への直接進学と早期研究参加

https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/admissions/undergraduate/e01_28.html

品川研究室に参加するためには、東京大学理学部情報科学科に進学し、研究室に配属される必要があります。そのための特別な方法として「学校推薦型選抜」があります。

通常、東京大学では理科一類などに入学した後、「進学振り分け」を経て、理学部情報科学科などの学科に進学する必要があります。しかし、学校推薦型選抜に合格すると、大学入学時から理学部情報科学科を志望することができ、最初から自分の興味に合った学科を選ぶことができます。さらに、大学生の早い段階から希望する研究室に所属して、本格的な研究に取り組むことも可能です。

理学部の学校推薦型選抜でアピールすることが求められているのは、以下のポイントです(詳細は募集要項をご確認ください)。

  1. 優れた成績や研究成果
  2. 科学オリンピック、論文発表、ソフトウェア開発経験 など

従って、早い段階で上記の活動内容をアピールできるように計画を立てておくことが重要です。

◯ ソフトウェア開発経験に役立つプログラム

上記のように、学校推薦型選抜で求められる成果を得るためには、研究成果やソフトウェア開発経験などが必要とされます。そこで、システムソフトウェア研究に興味のある高校生の皆さんは、上記の UTokyoGSC-Next の他、以下のようなプログラムに参加して経験を積むと、アピール材料の一つになる可能性はあります。そうでなくても、下記のプログラムへの参加経験は、品川研究室での研究に大いに役立ちます。実際、これらに参加した学生さんが多く品川研究室に参加してきてくれています。

・未踏ジュニア

https://jr.mitou.org/

未踏ジュニアは、小中高生のためのソフトウェア開発支援プログラムです。採択されると、メンタリングや開発資金(最大50万円)、活動場所の提供など、充実したサポートを受けながら自分のアイディアを形にすることができます。未踏事業は業界でも有名でその評価も高いので、未踏事業に採択された経験は将来的にも色々と役に立つと思います。私(品川)も二十年くらい前に未踏事業に採択されたことがあります。

・セキュリティ・キャンプ

https://www.ipa.go.jp/jinzai/security-camp/index.html

セキュリティ・キャンプは、情報セキュリティの技術を学ぶことができる合宿形式の集中講座です。実際に使われている技術を体験しながら、専門家と一緒に学べる貴重な機会です。OS自作ゼミや低レイヤのセキュリティに関する実習もあり、OSやネットワークなど幅広い技術を実践的に学べます。品川研究室にもセキュリティ・キャンプの関係者が何人か関わっています。

・SecHack365

https://sechack365.nict.go.jp/

SecHack365 は、サイバーセキュリティやソフトウェア開発に挑戦したい高校生・高専生・大学生のための1年間の育成プログラムです。全国から選ばれた仲間と一緒に、専門家の指導を受けながら、自分のアイディアを形にしていきます。特に「開発駆動コース」「研究駆動コース」を利用すれば、ソフトウェア開発経験や優れた研究成果を残すことも十分可能だと思います。

最後に

品川研究室では、高校生の皆さんが将来的にOSやシステムソフトウェアの研究者・開発者となってくれることを楽しみにしています。

システムプログラミングを「やってみたい!」「面白い!」と感じる気持ちを大切に、ぜひ色々なプログラムに挑戦してみてください。

品川 高廣
品川 高廣
教授

東京大学大学院情報理工学系研究科コンピュータ科学専攻教授